2015年7月28日火曜日

神山山頂にて・・・・ヒガラ

横浜市  柳場 稔



 私がまだ野鳥の会に入会する直前か、入会して間もない頃の話。
 目的地を箱根に選んだのは、何を見たかったとか、特定の種類をピンポイントで狙うとかではなく、ただ初夏の山の空気を味わいながら、鳥を探してみたかったのだと記憶しています。箱根は、神奈川県内でも丹沢周辺と並び、主な夏鳥の繁殖地に挙げられます。自宅から始発の電車に乗り、小田急線、箱根登山鉄道と乗り継ぎ、さらに強羅からケーブルカーで・・・・「神奈川の野鳥」の箱根のページを開くと、早雲山駅に丸印が付けられていました。当時の記憶は定かではないのですが、早雲山経由で最高峰の神山を目指していたのだと思います。


 残念なことに当時の観察リストも残っていないようですが、谷間で聞くコマドリの囀りだけは何故か強く記憶に残っています。

 神山山頂に到達すると、あたりには薄く霧がかかっていました。一息つくと、目の前の枝に数羽の鳥の群れを発見。頭部は黒地に白い斑点。カラ類の幼鳥だということは直ぐにわかりました。写真に収めようとカメラのレンズをセットして構えていると、なんと彼らの方から接近してくるではありませんか。気がつくと200mmレンズではピントが合わない最短撮影2m以内の文字通り手の届く距離にまで来ていました。おそらく人間という動物に生まれて初めて出会ったのでしょう。興味深げにこちらを覗き込んでいます。少し離れた場所には心配でたまらないのか、落ち着きなく動きまわっている兄弟たちの親と思われるヒガラもいました。


山頂にはヒガラの他、ミソサザイ、センダイムシクイなどがいました。少しばかり霧がかかっていたせいもありますが、鳥たちと人間私一人、特別な世界にいたように思える不思議なひとときでした。

 
 現在、箱根は大涌谷の小規模噴火により立ち入りが制限されている場所もあります。自然の力は人間の及ばないところにあるものですが、一日も早い終息を願わずにはいられません。